Webサイトの法務対応、プライバシーポリシーと特商法表記の整備

Webサイトの制作プロジェクトで、公開直前になって「そういえばプライバシーポリシーはどうしますか」という話になる。当社の制作現場でも、法務まわりはこのくらい後回しにされがちなテーマです。そして急いだ結果、他社サイトの文面をほぼそのままコピーして載せてしまう。実はこれが、いちばん危険な対応なのです。

プライバシーポリシーや特定商取引法に基づく表記は、単なる「どのサイトにもあるお決まりのページ」ではありません。法律上の義務に関わる記載であり、自社の実態と異なる内容を掲載すれば、義務を果たしていないのと同じことになります。何をなぜ載せる必要があるのか、どこまで自社で整備できて、どこからが専門家の領域なのか。企業サイトの運営者が押さえておくべき法務対応を整理していきましょう。

ECサイトでなくても無関係ではない

「うちは通販をやっていないから関係ない」と思われがちですが、そうではありません。問い合わせフォームで名前とメールアドレスを受け取る。採用ページでエントリーを受け付ける。アクセス解析を導入している。ごく普通の企業サイトのこうした機能は、すべて個人に関する情報の取得にあたります。

個人情報保護法は、取得した個人情報の利用目的を本人に伝える、または公表することを事業者に求めています。この「公表」の受け皿になるのが、サイト上のプライバシーポリシーです。かつて存在した「5,000件以下なら対象外」という例外は2017年の法改正で撤廃されており、規模の小さな会社でも個人情報を扱えば法律の対象です。フォームが一つでもあるサイトは、法務対応と無縁ではいられないのです。

プライバシーポリシーに書くべきこと

プライバシーポリシーは、個人情報をどう集め、何に使い、どう守るかという方針を示す文書です。厳密に言うと、法律が「プライバシーポリシーという文書を作れ」と直接命じているわけではありません。ただ、利用目的の公表や、本人からの開示請求への対応方法の明示といった法律上の義務を果たす実務的な手段として、事実上すべての事業者に必要なものになっています。

記載すべき中心的な項目は次のとおりです。

取得する情報と取得方法
氏名・連絡先などの個人情報に加え、Cookieやアクセスログなど、フォーム・会員登録・解析ツールを通じて何を集めるかを示す
利用目的
問い合わせへの対応、サービスの提供、お知らせの送付など、集めた情報を何に使うかを具体的に示す
第三者提供と委託
外部に提供・委託する場合の条件を説明する
安全管理措置
情報をどう守るかの体制を示す
開示・訂正・削除への対応
本人からの請求にどの窓口でどう対応するかを明示する

書き方のコツは、法律文書らしく見せることではなく、読んだ人が理解できることです。利用目的を「事業活動のため」とだけ書くのでは、何も伝えていないのと同じです。「お問い合わせへの回答のため」「ご依頼いただいた業務のご連絡のため」のように、訪問者が自分の情報の行き先を想像できる粒度で書きます。掲載場所は全ページのフッターからリンクするのが定番で、フォームの送信ボタン付近にもリンクを置くと、同意の実質性が高まります。

ここで冒頭の「コピペの危険」に戻ります。他社の文面を流用すると、実際には行っていない安全管理措置が書かれていたり、逆に自社が使っている解析ツールや広告サービスへの言及が抜けていたりします。ポリシーは自社の実態の写し鏡であってこそ意味があるもの。雛形を出発点にするのは構いませんが、「うちは実際どうしているか」と一項目ずつ突き合わせる作業だけは省かないでください。当社がサイト制作をお手伝いする際も、フォームの項目や導入ツールをヒアリングしたうえで、実態に合う内容へ調整しています。

特定商取引法に基づく表記

ECサイトやオンラインショップのように、インターネットを通じて商品やサービスを販売する事業者には、特定商取引法により、消費者へ示すべき情報の表示が義務づけられています。掲載が必要な主な項目は次のとおりです。

事業者情報
事業者名、代表者または運営統括責任者の氏名、所在地、電話番号などの連絡先
費用に関する事項
販売価格のほか、送料・手数料など商品代金以外に発生する費用
支払いと引き渡し
支払い方法と支払い時期、商品の引き渡し時期
返品・交換の条件
返品の可否、期限、費用負担、不良品時の対応など、いわゆる返品特約

配置にもルールの趣旨が関わります。消費者が容易に確認できることが求められるため、全ページのフッターからリンクする形が定番です。とくに返品特約は、分かりにくい場所に小さく書くとトラブルの火種になります。購入の判断に関わる情報こそ、はっきり見える形で示すことが、結局は事業者自身を守ることにつながるのです。

返品特約には、知っておくべき法律上の仕組みがあります。通信販売にはクーリングオフ制度が適用されない代わりに、返品の可否や条件を表示していない場合、消費者は商品到着から8日以内であれば返品できると法律で定められています。「返品について何も書かなければ返品を断れる」は逆で、書かないことがかえって事業者に不利に働くのです。自社の返品ルールを決めて、明確に表示する。これが唯一の正解だといえます。

なお、楽天市場やAmazonのようなモールに出店している場合も、この表記義務は自社に課されるものなので、モール側の案内に従って自店舗ページでの表示が必要です。

なお、記載内容は一度作って終わりではありません。送料の改定、決済手段の追加、所在地の移転。事業の変化に合わせて表記も更新が必要です。サイト公開前の確認項目としてまとめてチェックしたい方は、サイト公開前のチェックリストもあわせてご覧ください。

CookieとWeb広告まわりの規律

近年、対応の必要性が急速に高まっているのがCookieまわりです。注意したいのは、日本の個人情報保護法では、Cookieやそれに類する識別子は単体では「個人情報」ではなく、「個人関連情報」という別の枠組みで扱われる点です。提供先で個人データと紐づくような第三者提供には、本人の同意確認が求められるケースがあります。

さらに2023年施行の改正電気通信事業法では、いわゆる外部送信規律が導入されました。アクセス解析や広告配信のタグを通じて利用者の情報を外部へ送信する場合、対象となる事業者は、何をどこへ送っているのかを利用者に通知するか、確認しやすい形で公表することが求められます。海外向けにはGDPRのようにさらに厳格な規制もあり、Cookieバナーによる同意取得が世界的な標準になりつつあります。

ここで慌てて「とにかく同意バナーを付ければ安心」と考えるのは早計です。外部送信規律が求めるのは原則として通知または公表であり、日本法の下ですべてのサイトに同意バナーが義務づけられているわけではありません。実態に合わない過剰なバナーは、ユーザー体験を損なうだけの飾りになります。まず自社がどの規制の対象なのかを確認し、必要な水準の対応を選ぶことが、コストと信頼の両面で合理的です。

実務としては、自社サイトで使っている解析・広告ツールを棚卸しし、プライバシーポリシーまたは独立したCookieポリシーとして、送信先と目的を明記するところから始めます。規制の全体像と広告運用への影響はCookie規制とデジタルマーケティングの今後で詳しく扱っています。

弁護士に相談すべきケース

ここまでの内容は、多くの企業サイトが自社と制作会社の協力で整備できる範囲です。一方で、次のようなケースでは、Webに詳しい弁護士への相談を組み込むことをおすすめします。

  • 個人情報を大量に、または機微な情報を取り扱う場合
  • 海外ユーザー向けにサービスを提供する場合
  • 医療・金融など業界特有の規制がある場合
  • 過去に個人情報まわりのトラブルを経験している場合

会員制サービスや健康情報を扱うサイトでは、一般的な雛形では足りない配慮が必要になります。海外向けではGDPRをはじめ国・地域ごとの規制への対応が関わり、判断には専門知識が欠かせない領域です。業法の規制がある業界では、広告表現も含めてサイト全体が規制対象になることがあります。

相談のタイミングは、トラブルが起きてからではなく、サイトの企画段階が理想です。設計の初期に法務要件を織り込めば、後から作り直すコストを丸ごと省けます。あわせて、公開後の見直しのリズムも決めておきましょう。個人情報保護法もCookieまわりの規制もここ数年で大きく動いており、一度作った文書が数年後も適法とは限りません。年1回、導入ツールの棚卸しとポリシーの読み合わせを行う。この習慣だけで、法改正への追従漏れはかなり防げます。会社サイトに必要なページ構成を考える際は、コーポレートサイトに載せるべきコンテンツの整理とあわせて、法務ページの位置づけも決めてしまいましょう。

まとめ

Webサイトの法務対応は、プライバシーポリシー、特商法に基づく表記、Cookieまわりの情報公表の3つが柱です。共通する原則はただ一つ、「自社の実態を、正確に、分かりやすく示すこと」。他社のコピーで形だけ整えるのは、義務を果たしたことにならないばかりか、実態との食い違いという新たなリスクを生みます。

まずは自社サイトのポリシー類を開いて、書かれている内容がいまの実態と合っているかを確認してみてください。使っていないはずのツールの名前や、変わったはずの問い合わせ窓口が残っていたら、そこが見直しの入口です。最終更新日が数年前のままなら、なおさら優先度は高いといえます。

サイトの法務ページ整備のご相談

自社サイトのプライバシーポリシーや特商法表記が現状に合っているか不安がある、新規サイトの制作にあたって法務まわりも漏れなく整えたいという方は、合同会社ギャラクタスにご相談ください。フォームや導入ツールの実態を確認しながら、サイトに必要な法務ページの構成と記載内容の整備をお手伝いし、専門的な法的判断が必要な場合は弁護士への相談をおすすめする切り分けまで含めてご案内します。無料相談で、サイトの構成と扱っている情報をお聞かせください。

Web制作会社ギャラクタスでは
ホームページ作成・運用を承っています

ホームページの新規立ち上げや既存サイトのリニューアルを始めとしたWeb制作全般に関して、
企画・構成からデザイン・コーディングまで一貫して行っています。
Webサイトの制作・運用に関するお悩みやご要望は、当社までお気軽にご相談ください。

ご相談・お問い合わせ

関連記事

カテゴリー

タグ

Webサイトの制作・運用に関するお悩みやご要望は、
当社までお気軽にご相談ください。