Web制作のテスト工程、省くとどんな問題が起きるか

いよいよ新しいWebサイトのデザインが完成し、システムも組み上がった。経営陣も「早く公開して反響を見たい」と期待を寄せています。そんなローンチ直前のタイミングで、制作会社から「ここから2週間はテスト期間に入ります」と告げられ、少しもどかしい思いをした経験はないでしょうか。

Webサイト制作において、テスト工程はどうしても地味に映ります。新しいデザインが上がってくるわけでもなく、目に見える成果物が目まぐるしく出てくるわけでもありません。「軽くクリックして動けば、もう公開してしまっていいのでは」と感じてしまうのも無理のないことです。

しかし、このテスト工程を削ることは、ブレーキの点検をせずに新車を高速道路で走らせるようなものです。公開後に発覚したバグ一つが、これまでの制作費やブランドへの信頼を一瞬にして吹き飛ばしてしまうリスクを秘めています。

「もう少し短縮できないか」「最低限のチェックだけでいい」——そう感じるとき、実際には何を省こうとしているのか。そして省いた先に何が待っているのか。その現実を一つひとつ見ていきます。

省くとはどういうことか、テスト工程の全体像

「テストを省く」といっても、何を省くのかをイメージできていないと、そのリスクも実感しにくいものです。まず、Web制作の現場でどのような検証が行われているかを把握しておきましょう。

ひとくちに「テスト」といっても、制作側がチェックしている項目は多岐にわたります。ボタンが押せるかどうかだけでなく、目に見えない裏側の処理からユーザーの見え方まで、網羅的に検証を行っています。代表的なものを整理すると、以下の四つに分かれます。

  • 機能テスト
  • パフォーマンステスト
  • セキュリティテスト
  • ユーザビリティテスト

機能テストは、最も基本となる検証です。お問い合わせフォームの送信は正しく完了するか。ECサイトであれば、カートに商品を入れてからクレジットカードの決済処理が走り、サンクスメールが届くまでの流れが仕様通りに動くかを確認します。データの登録やファイルのアップロードなど、システムが絡む部分は抜け漏れなくチェックしなければなりません。

パフォーマンステストは、サイトの「体力測定」のようなものです。ページを開くまでに何秒かかるか、大量のユーザーが同時にアクセスしてもサーバーが落ちないかを専用のツールを使って測定します。画像が最適なサイズに圧縮されているか、プログラムの処理に無駄がないかを確認し、表示の遅延による離脱を防ぎます。

セキュリティテストは、悪意のある攻撃からサイトや顧客データを守るための堅牢性のチェックです。個人情報が暗号化されずに送信されていないか。データベースに不正な操作をされる隙がないか。他人のアカウントにログインできてしまうような致命的な欠陥がないかを、専門的な視点で洗い出します。

ユーザビリティテストは、実際の利用者を想定した使い勝手の検証です。メニューの階層は直感的に理解できるか、エラーが出たときのメッセージは「何が間違っているのか」を親切に教えてくれるかなど、ユーザー目線でのストレスを徹底的に排除していきます。

端末・ブラウザ環境の確認も「テスト工程」の一部

機能そのものは正常に動いても、見る環境によってデザインが崩れてしまっては意味がありません。以下のような検証も、テスト工程に含まれます。

クロスブラウザテスト
Google Chrome、Safari、Edge、Firefoxといった主要なブラウザでサイトを開き、レイアウトの崩れや意図しない動作が起きないかを確認します。ブラウザごとにプログラムの解釈がわずかに異なるため、この確認が欠かせません。
レスポンシブテスト
パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなど、画面サイズの異なる端末で見たときに、文字の大きさや画像の配置が適切に切り替わるかを検証します。
解像度テスト
同じパソコンでも、フルHDのモニターと小型ノートパソコンでは画面の縦横比や解像度が異なります。極端に横長、あるいは縦長の画面で表示した際にも、情報がはみ出したり隠れたりしないかをチェックします。

これらすべてを確認して初めて、「誰が見ても正しく表示され、正しく動くWebサイト」が担保されます。「テストを省く」とは、この中のいずれかを飛ばして公開することを意味するのです。

テストを省いたとき、実際に何が起きるか

バグを残したまま世にサイトを出してしまったとき、一体何が起きるのでしょうか。「あとから直せばいい」という考えが、取り返しのつかない実害を生んだケースを見てみましょう。

決済・フォームの不具合で売上が消える

ECサイトや予約サイトにおいて、最も致命的なのがカートや決済画面の不具合です。

ユーザーが「これを買おう」と決心し、個人情報を入力し終え、最後に決済ボタンを押した瞬間にシステムエラー画面が表示される。あるいは、クリックしても何も反応しない。実店舗でたとえるなら、支払いをしようとしているお客様から商品を奪い、そのまま店の外に追い出しているようなものです。

仮に客単価3万円のECサイトで、1日に50人がこの決済エラーに直面したとします。1日放置するだけで150万円の売上が消えます。バグの特定と修正に1週間かかれば、機会損失は1,000万円を超えます。ユーザーは一度エラーを経験したサイトには二度と戻ってこないため、失ったのはその場の売上だけでなく、将来のリピーターでもあります。

お問い合わせフォームも同様です。送信後のサンクスメールが届かない、管理者への通知メールが飛ばない、という不具合は、送った側には「届いているはず」という認識のまま放置されがちです。企業側は問い合わせが来ていないと思い込み、ユーザーは返事を待ち続ける。この状況が何日も続けば、潜在的な顧客を黙って取りこぼし続けることになります。

ブランドイメージとSEO順位が同時に傷つく

個人情報の漏洩や決済情報の不正取得はもちろん深刻ですが、そこまでいかなくとも、頻繁にサーバーが落ちる、スマートフォンで文字が小さすぎて読めない、リンクをクリックしたら404エラーが出る——こうした品質の低さは、企業そのものへの信頼を容赦なく削り取ります。

「この会社はWebサイトすらまともに作れないのか」という印象を一度持たれてしまったら、営業努力で挽回するのは至難の業です。Webサイトは企業の「顔」であり、品質の低さはそのまま会社全体の仕事の質として判断されてしまいます。

さらに、不具合はGoogleからの評価も引き下げます。表示スピードが遅いページやモバイル対応が不十分なページは、ユーザー体験を損なうサイトとして順位が下落するよう設計されています。リンク切れが放置されているサイトも同様です。検索順位が落ちれば自然検索からの新規流入が止まり、広告費を払い続ける悪循環に陥ります。ブランドへの打撃とSEOへの打撃が同時に起きる——テスト不足による代償は、思った以上に広い範囲に波及するのです。

モバイル・クロスブラウザ未検証の代償

「パソコンで確認したら問題なかった」——このひとことで見逃されがちなのが、スマートフォンとブラウザ環境の問題です。

日本国内のWeb閲覧において、サイトによってはスマートフォンからのアクセスが7割を超えます。そのユーザーがサイトを開いたとき、ボタンが指で押せないほど小さかったり、テキストが画面からはみ出して読めなかったりしたら、そのまま離脱するのは当然の話です。レスポンシブテストを省くということは、訪問者の大半に対してサイトが「使えない状態」で提供されるリスクを見て見ぬふりすることにほかなりません。

ブラウザの差異も侮れません。制作側がChromeで開発・確認していても、Safariでは同じCSSが異なる見え方になることがあります。iPhoneのデフォルトブラウザはSafariです。スマートフォンユーザーの多くがSafariでアクセスする可能性があるにもかかわらず、Safariでのクロスブラウザテストをスキップすれば、その人たちにはデザインが崩れたサイトを届けていることになります。どのブラウザでのテストを省くかは、どの層のユーザーに粗悪な体験を与えるかに直結しているのです。

公開後に修正するほど、コストは跳ね上がる

「バグが見つかっても、あとで直せばいい」という判断が危険なのは、リスクだけの問題ではありません。修正にかかるコストそのものが、テスト工程に費やすコストより大きくなるのです。

ソフトウェア開発の分野には、「バグを発見するのが遅れるほど、修正コストは大きくなる」という経験則があります。設計段階で見つかれば修正は数時間の話ですが、公開後のシステムに同じバグが残っていた場合、その修正には何倍もの工数がかかります。一度稼働しているシステムへの変更は、他の機能への影響を慎重に確認しながら行わなければならないからです。機能単体では問題なくても、変更によって別の箇所が壊れるリスクが常にあります。

さらに深刻なのが「緊急対応」のコストです。公開直後に決済が止まれば、深夜や休日であっても即座に対応が必要になります。予定外の緊急修正は通常の開発費より高い費用が発生しますし、制作会社のリソースを突発的に割かせることになるため、他のプロジェクトへの影響も避けられません。

事前のテストに時間と費用をかけることは、こうした緊急対応費や機会損失のリスクを公開前に潰しておく行為です。テスト期間を「遅れている時間」ではなく、「将来の損失を事前に消しておく時間」として捉えてみると、見え方がまったく変わってくるのではないでしょうか。

受け入れテストをクライアント側が省いてはいけない理由

制作側のテストがすべて終わった後、絶対に欠かせないのが、発注者であるクライアント自身による「受け入れテスト」です。

要望通りの画面構成になっているか。自社の業務フローに沿って管理画面が使いやすいか。マニュアルを見なくてもお知らせの更新ができるか。これらは、実際にそのサイトを使ってビジネスをしていく当事者にしか判断できません。制作会社がいくら丁寧に動作確認をしても、「発注者の業務目線での使いやすさ」は外側から確認できないのです。

「一通り見ました、問題なさそうです」という形式的な確認だけで受け入れテストを終えてしまうと、公開直後に「この機能、こういう使い方ができないと業務が回らない」という問題が浮上することになります。その時点での修正依頼は、制作会社にとってもコストがかかる作業であり、スムーズに対応してもらえるとは限りません。

受け入れテストを実のあるものにするには、「誰が」「いつまでに」「何を基準にOKとするか」を事前にすり合わせておくことが助けになります。バグを見つけたときは「動きません」ではなく、「どの画面で」「何のボタンを押したときに」「本来どうなるべきが、現状どうなっているか」をスクリーンショットとセットで共有すると、修正までの時間が大幅に短縮されます。

まとめ

ローンチ前のテスト期間は、たしかに歯痒い時間です。1日も早く世のユーザーに見てもらいたいという気持ちは痛いほどわかります。

それでも、テスト工程を省いたとき何が起きるかは、数字で見ても、ブランドへの影響で見ても、公開後の修正コストで見ても、省かなかった場合のコストをはるかに上回ります。機能テスト、パフォーマンス検証、クロスブラウザ確認、受け入れテスト——それぞれに果たす役割があり、どれを省いてもどこかに穴が開きます。

テストに投じる時間と予算は、単なる「確認作業費」ではありません。公開後に起こり得る機会損失、企業の信用失墜、緊急修正の対応費を、前払いで消し去るための投資です。「テストにどれくらい時間をかけますか?」——Webサイトの制作を依頼する際、ぜひこの質問を制作会社に投げかけてみてください。品質に対して真摯に向き合うパートナーであれば、明確なテスト戦略とその根拠を語ってくれるはずです。

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私たちは、美しいデザインや高度なシステムを作るだけでなく、「絶対にビジネスを止めないこと」をプロジェクト品質の条件として位置づけています。テスト計画の設計から、本番公開後の保守・監視体制まで、安全にプロジェクトを前進させるための方法をご提案します。現状のサイトの品質診断も承っていますので、まずは無料相談にてお悩みをお聞かせください。

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