なぜSEO対策の種類を知る必要があるのか?
「SEO対策」と一口に言っても、その手法は多岐にわたります。Webサイトの状況や自社のビジネスの目標によって、優先して取り組むべき施策は大きく異なってきます。
自社にとって何が最適なのか判断するには、そもそもどのような対策が存在するのか、まずはSEOの全体像を把握する必要があります。
自社に必要な対策は何か
検索エンジンのアルゴリズムは常に進化しており、それに伴ってSEOの手法も変化・多様化してきました。技術的な枚部の改善や、コンテンツの質の向上、外部からの評価獲得など、様々な側面からのアプローチが必要です。
これらの種類を知ることで、「今、自社サイトに必要なのはどの対策なのか?」を客観的に考えるための土台ができます。
制作会社・SEO会社との円滑なコミュニケーションのために
外部の専門家に依頼する場合でも、基本的なSEO対策の種類と目的を理解しておくことは非常に重要です。業者からの提案内容を正しく理解し、的確な質問を投げかけ、建設的な議論を進めるためには、共通言語としての知識が役立ちます。
「テクニカルSEOの改善をお願いしたい」「コンテンツSEOを強化したい」といった具体的な要望を伝えることができれば、よりスムーズにプロジェクトを進め、期待する成果を得やすくなります。
この記事でわかること:SEO対策の主な分類と具体的な手法
本記事では、数あるSEO対策を大きく「内部対策」「外部対策」「特定の状況に特化した対策」に分類し、それぞれの具体的な手法について解説します。前回の記事「検索上位を目指す第一歩!まず確認したいSEOチェックポイント」で自社サイトの現状を把握した上で、この記事を読むことで、どのような改善策が存在するのか、より深く理解できるはずです。発注前の情報収集として、ぜひご活用ください。
第1章:サイト内部の改善が鍵!「内部対策」の種類と手法
SEO対策の基本であり、最も重要なのが「内部対策」です。これは、自社で管理・コントロールできるWebサイトそのものに対して行う改善施策全般を指します。検索エンジンがサイトの情報を正しく理解しやすくし(クローラビリティ)、ユーザーが快適にサイトを利用できる(ユーザビリティ)ように整えることが目的です。
内部対策は、大きく「テクニカルSEO」と「コンテンツSEO」の2つに分けられます。
1-1. 技術的な土台を整える「テクニカルSEO」
テクニカルSEOは、Webサイトの技術的な基盤を最適化する取り組みです。検索エンジンのクローラーがサイトを効率的に巡回し、内容を正確にインデックス(登録)できるようにすること、そしてユーザーがストレスなくサイトを利用できる環境を整えることが主な目的です。
具体的な手法としては、以下のようなものが挙げられます。
クローラー最適化(インデックス促進、サイト構造改善)
- XMLサイトマップの送信
- サイト内のページリストを検索エンジンに通知し、クロールを促します。
- `robots.txt`の適切な設定
- クローラーに不要なページへのアクセスを制限し、重要なページへのクロールを集中させます。
- 分かりやすいURL構造
- ページ内容が推測しやすく、階層が整理されたURLにします。
- 内部リンクの最適化
- 関連ページ同士を適切にリンクし、サイト内の回遊性と重要ページの評価を高めます。
- パンくずリストの設置
- ユーザーと検索エンジンにサイト内での現在地と階層構造を伝えます。
- 重複コンテンツの解消
- `canonical`タグなどを利用し、評価の分散を防ぎます。
表示速度改善(Core Web Vitals対応)
ページの表示速度はユーザー体験とSEO評価に直結します。
Googleが提唱するCore Web Vitals(LCP, FID/INP, CLS)の指標改善を目指し、画像サイズの最適化、ブラウザキャッシュの活用、不要なコードの削除、サーバー応答速度の改善などを行います。PageSpeed Insightsなどのツールで現状を把握し、改善策を講じることができます。
モバイルフレンドリー対応(レスポンシブデザイン)
スマートフォンでの閲覧が主流の現在、モバイル端末での表示最適化は必須です。
レスポンシブWebデザインを採用し、どのデバイスからアクセスしても適切に表示され、操作しやすいようにします。Googleのモバイルフレンドリーテストで確認できます。
構造化データマークアップ
ページの内容(例えば、記事、商品、イベント、FAQなど)の意味を、検索エンジンが理解しやすい共通の形式(スキーママークアップ)で記述します。これにより、検索結果でリッチリザルト(評価の星やFAQ表示など)が表示されやすくなり、クリック率向上に繋がる可能性があります。
HTTPS化(セキュリティ強化)
サイト全体の通信を暗号化(SSL/TLS化)することで、ユーザーのセキュリティを守り、サイトの信頼性を高めます。GoogleもHTTPSをランキング要因としています。
1-2. ユーザーと検索エンジンに響く「コンテンツSEO」
コンテンツSEOは、サイト内に掲載するテキスト、画像、動画などの「コンテンツ」そのものを最適化する取り組みです。検索ユーザーが求めている情報(検索意図)に的確に応え、かつ検索エンジンにもその価値を正しく伝えることを目指します。
キーワードリサーチと選定
ターゲットユーザーがどのようなキーワードで検索するかを調査・分析し、対策すべきキーワードを選定します。検索ボリューム、関連性、検索意図、競合性を考慮して、戦略的にキーワードを選びます。
検索意図を満たす高品質なコンテンツ作成
選定したキーワードで検索するユーザーが、何を求めているのか(情報収集、比較検討、購入など)を的確に理解し、そのニーズを満たす、網羅的で分かりやすいコンテンツを作成します。作成の際には、単なる情報の羅列ではなく、ユーザーの疑問解消や課題解決に繋がるよう心がけることが重要です。
E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の向上
Googleが重視するコンテンツ品質の指標です。実体験に基づく情報、専門的な知見、分野における権威性、そして情報源としての信頼性を示せるコンテンツ作りを心がけます。
著者情報や運営者情報の明記、正確な情報提供、引用元の表示などが含まれます。
タイトル・ディスクリプションの最適化
検索結果ページでユーザーの目に留まり、クリックを促すような魅力的で分かりやすいタイトルタグ (<title>) とメタディスクリプション (<meta name="description">) を設定します。
対策キーワードを自然に含めつつ、内容を的確に要約することが重要です。
画像SEO(alt属性、ファイル名)
画像の内容を説明する代替テキスト (alt属性) を適切に設定し、検索エンジンとスクリーンリーダー利用者に画像情報を伝えます。また、ファイル名も画像内容が分かる具体的なものにします。
第2章:サイト外部からの評価を高める!「外部対策」の種類と手法
内部対策によってサイトの土台とコンテンツを整えたら、次に重要になるのが「外部対策」です。これは、自社サイトの「外」から、そのサイトの価値や信頼性を高めるための施策を指します。
検索エンジンは、サイト単体の情報だけでなく、インターネット全体の中でそのサイトがどのように認識され、評価されているかも考慮してランキングを決定します。外部対策の代表的なものが「被リンク獲得」ですが、その他にもオンライン上での言及(サイテーション)なども含まれます。
2-1. 信頼と権威性の証「被リンク(バックリンク)の獲得」
被リンクとは、他のWebサイトから自社サイトへ向けられたリンクのことです。検索エンジン、特にGoogleは、この被リンクを「他のサイトからの推薦・投票」のようにみなし、サイトの信頼性や権威性を評価する重要な指標の一つとしています。多くの質の高いサイトからリンクされているサイトは、それだけ価値があり信頼できると判断されやすくなります。
良質な被リンクとは?(質と量の重要性)
重要なのは、単にリンクの数が多いことではなく、その「質」です。良質な被リンクとは、主に以下のような特徴を持つリンクを指します。
- 関連性の高いサイトからのリンク
- 自社サイトのテーマや業界と関連のあるサイトからのリンク。
- 権威性・信頼性の高いサイトからのリンク
- 公的機関、有名な業界団体、信頼できるメディア、専門性の高いブログなどからのリンク。
- 自然な形で設置されたリンク
- 文脈に沿って、ユーザーにとって有益な情報源として自然に紹介されているリンク。
逆に、関連性の低いサイトからのリンクや、明らかに作為的・低品質なサイト(スパムサイトなど)からのリンクは、たとえ数が多くても評価されないばかりか、ペナルティの対象となるリスクさえあります。
自然な被リンク獲得のための戦略(コンテンツマーケティング)
Googleは、検索順位を操作する目的での人為的なリンク構築(リンクの購入、過剰な相互リンクなど)をガイドラインで禁止しています。
最も推奨される被リンク獲得方法は、ユーザーにとって本当に価値のある、ユニークで質の高いコンテンツを作成し、それが自然に他のサイトから参照・紹介されるようにすることです。これは「コンテンツマーケティング」の考え方にも通じます。
具体的には、独自の調査データや分析レポートの公開、専門的なノウハウ記事の作成、インフォグラフィックなどの共有されやすいコンテンツの作成などが考えられます。作成したコンテンツをSNSなどで適切に告知し、認知度を高めることも有効です。
注意すべき低品質なリンクとその対処法(リンク否認)
意図せずとも、低品質なサイトからリンクされてしまうことがあります。
定期的にGoogle Search Consoleなどで被リンク状況を確認し、明らかにスパム的なサイトや、自社サイトに悪影響を及ぼしそうな不自然なリンクがないかをチェックしましょう。もしそのようなリンクを発見し、削除依頼もできない場合は、Googleの「リンク否認ツール」を使って、特定のリンクを評価対象から除外するよう申請することを検討します。ただし、前述の通り、このツールの利用は慎重に行う必要があります。
2-2. サイテーション(言及)とブランド認知
直接的なリンクだけでなく、オンライン上で企業名、ブランド名、サイト名、住所、電話番号などが言及されること(サイテーション)も、間接的にサイトの信頼性や認知度向上に繋がると考えられています。
NAP情報(名前・住所・電話番号)の統一
特にローカルビジネスにおいては、Googleビジネスプロフィールをはじめ、各種ポータルサイトやディレクトリに登録する企業名(Name)、住所(Address)、電話番号(Phone)の情報(NAP情報)を正確かつ一貫性を持って記載することが重要です。情報が統一されていることで、検索エンジンはそのビジネスの実在性や信頼性を確認しやすくなります。
オンラインでのブランド言及の効果
SNS、ブログ、ニュースサイト、レビューサイトなどで自社のブランド名やサービス名が好意的に言及されることも、ブランド認知度の向上やサイテーションとして間接的なSEO効果が期待できます。
顧客満足度を高め、ポジティブな口コミや評判が広がるような取り組みも重要と言えるでしょう。
第3章:特定の状況に特化したSEO対策
基本的な内部対策・外部対策に加えて、特定のビジネスモデルや目的に特化したSEO手法も存在します。
ここでは代表的な3つの特化型SEOについて解説します。
3-1. 地域ビジネスの集客に「ローカルSEO(MEO)」
ローカルSEOは、店舗や地域密着型のサービスなど、特定の地域でビジネスを展開している場合に非常に重要な対策です。「Map Engine Optimization(MEO)」とも呼ばれ、主にGoogleマップ検索や、「地域名 + サービス名」(例:「渋谷 美容室」)のような地域キーワードでの検索結果(ローカルパック)で上位表示を目指す施策です。
- Googleビジネスプロフィールの最適化
- ローカルSEOの中心となるのが、Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)です。店舗情報(住所、電話番号、営業時間、サービス内容、写真など)を正確かつ詳細に登録し、常に最新の状態に保つことが基本です。投稿機能を活用した情報発信や、顧客からの口コミへの丁寧な返信も重要です。
- ローカルキーワード対策
- Webサイトのコンテンツやタイトルに、ターゲットとする地域名を含んだキーワード(例:「〇〇市 リフォーム」「△△駅 居酒屋」)を適切に盛り込みます。
- 地域情報サイトへの掲載、口コミ対策
- 地域のポータルサイトやレビューサイトなどに情報を掲載し、NAP情報の一貫性を保ちます。また、顧客に良質な口コミを投稿してもらうよう促すことも、ローカル検索での評価向上に繋がります。
3-2. 海外展開を目指すなら「国際SEO」
複数の国や言語でWebサイトを展開し、海外ユーザーからのアクセスを獲得したい場合に必要なのが国際SEOです。ターゲットとする国や言語のユーザーに対して、適切なコンテンツを検索結果に表示させるための技術的な設定やコンテンツ戦略が求められます。
- ターゲット国・言語の設定 (`hreflang`タグ)
- 同じ内容でも言語や地域によってページが異なる場合、`hreflang`属性というHTMLタグを使用して、各ページのターゲットとなる言語と地域をGoogleに伝えます。これにより、例えば日本のユーザーには日本語ページ、アメリカのユーザーには英語ページが検索結果に表示されるようになります。
- 多言語コンテンツの作成と最適化
- 単なる翻訳ではなく、ターゲットとする国や地域の文化、習慣、検索ニーズに合わせてコンテンツをローカライズ(現地最適化)することが重要です。キーワードも、各言語で実際に使われているものを選定する必要があります。
- 国別ドメイン・サブディレクトリ戦略
- サイト構造として、国ごとにドメインを取得する(例: `example.jp`, `example.co.uk`)、サブドメインを使う(例: `jp.example.com`, `uk.example.com`)、あるいはサブディレクトリを使う(例: `example.com/jp/`, `example.com/uk/`)といった方法があります。それぞれのメリット・デメリットを考慮し、戦略的に選択します。
3-3. ECサイトの売上向上へ「ECサイトSEO」
オンラインストア(ECサイト)特有の課題に対応し、集客と売上向上を目指すのがECサイトSEOです。膨大な商品ページやカテゴリページを効率的に検索エンジンに認識させ、購入意欲の高いユーザーを呼び込むための施策が中心となります。
- 商品ページ・カテゴリページの最適化
- 各商品ページや商品カテゴリページに対して、適切なキーワードを選定し、タイトルタグ、メタディスクリプション、見出し、商品説明文などを最適化します。特に、ユーザーが検索しそうな商品名、型番、ブランド名、関連キーワードなどを盛り込むことが重要です。重複コンテンツが発生しやすい構造のため、`canonical`タグの適切な設定も欠かせません。
- レビュー機能の活用
- 顧客からの商品レビューは、コンテンツの独自性を高め、購買検討中のユーザーにとって有益な情報となるだけでなく、SEO評価にもポジティブな影響を与える可能性があります。レビュー投稿を促す仕組みを取り入れましょう。
- 構造化データ(商品情報)の実装
- 商品名、価格、在庫状況、レビュー評価などの情報を構造化データマークアップ(Productスキーマなど)で記述することで、検索結果に価格や評価などが表示されるリッチリザルトになり、クリック率向上や購入促進に繋がる可能性があります。
第4章:自社に必要なSEO対策の見つけ方
これまで様々なSEO対策の種類を見てきましたが、実際に自社サイトにどの対策を、どの順番で適用していくべきかを見極めることが重要です。やみくもに施策を行うのではなく、戦略的に進めましょう。
現状分析の重要性
まずは、自社サイトの現状を客観的に把握することがスタート地点です。以前の記事「SEOのチェックポイント」で紹介したような項目や、Google Search Console、Google Analyticsなどのツールを活用し、サイトの技術的な問題点、コンテンツの課題、アクセスの状況、ユーザー行動などを分析します。強みと弱みを明確にすることで、取り組むべき対策が見えてきます。
検索上位を目指す第一歩!まず確認したいSEOチェックポイント目標設定(KGI/KPI)と施策の優先順位付け
現状分析に基づき、「何を達成したいのか」という具体的な目標を設定します。最終的なゴール(KGI: 重要目標達成指標、例:売上〇〇円、問い合わせ〇〇件)と、それを達成するための中間指標(KPI: 重要業績評価指標、例:特定キーワードでの検索順位、自然検索からの流入数、コンバージョン率)を明確にしましょう。
目標達成へのインパクトが大きく、かつ実現可能性の高い施策から優先順位をつけて取り組むことが効果的です。
内部対策と外部対策のバランス
SEOは内部対策と外部対策の両輪で成り立っています。まずはサイト内部の基盤を整える内部対策(特にテクニカルSEOと質の高いコンテンツ作成)に注力し、その上で外部からの評価を高める外部対策に取り組むのが一般的な進め方です。どちらか一方に偏るのではなく、バランス良く施策を進めることが重要です。
長期的な視点での取り組み
SEO対策は、施策を実施してすぐに効果が出るものではありません。検索エンジンの評価が反映されるまでには時間がかかり、またアルゴリズムの変動や競合の状況によって常に最適化を続ける必要があります。短期的な成果を求めるのではなく、中長期的な視点で、継続的に分析・改善を繰り返していくことが成功の鍵となります。
まとめ
SEO対策には、サイトの技術的な基盤を整える「テクニカルSEO」、ユーザーに価値ある情報を提供する「コンテンツSEO」、外部からの信頼を得る「外部対策(被リンク獲得など)」、そして特定の目的に特化した「ローカルSEO」や「国際SEO」、「ECサイトSEO」など、非常に多くの種類と手法が存在します。
SEO対策は多岐にわたる施策の組み合わせ
単一の手法だけで大きな成果を上げるのは難しく、これらの様々な施策を、自社サイトの状況やビジネス目標に合わせて適切に組み合わせ、実行していくことが求められます。
自社の状況と目標に合った手法を選び、専門家と連携しよう
まずは自社サイトの現状分析と目標設定を行い、どの対策に注力すべきかを見極めましょう。そして、必要に応じて制作会社やSEO会社といった専門家の知見やリソースを活用し、連携しながら戦略的にSEO対策を進めていくことが、成功への近道となるでしょう。