PHPとは、WordPressを動かすサーバーサイド言語

WordPressの管理画面に「PHPの更新を推奨」と表示されて対処に迷う。レンタルサーバーの設定画面でどのPHPバージョンを選べばいいか分からない。サイトの保守を引き継いだWeb担当者から、こうした相談をよくいただきます。

PHPは1995年の誕生以来、Webの裏側を支え続けてきたサーバーサイド言語です。W3Techsの調査では、サーバーサイド言語が判明しているWebサイトの約75%がPHPで動いており、WordPressをはじめ多くのCMSがPHPで作られています。プログラミングを学ぶ必要はありませんが、PHPが何をしていて、なぜバージョン管理が大事なのかを知っておくと、サーバー会社や制作会社とのやり取りが格段にスムーズになります。順番に見ていきましょう。

PHPの役割と特徴

PHPは、動的なWebページを作るためのサーバーサイドスクリプト言語です。正式名称は「PHP: Hypertext Preprocessor」。HTMLの中に埋め込んで書ける手軽さが特徴で、Webサーバー上で実行され、処理結果だけがHTMLとしてブラウザに届きます。

静的なHTMLだけのサイトは、誰がいつ見ても同じ内容を表示します。一方、ログイン後に「こんにちは、○○さん」と表示したり、検索キーワードに応じた結果一覧を出したりするには、アクセスのたびにサーバー側で処理を行う必要があります。この「アクセスごとに中身を組み立てる」仕事を担うのがPHPです。ブログの記事一覧が典型例で、データベースに保存された記事データをPHPが取得し、テンプレートに流し込んでHTMLを生成します。記事を追加してもHTMLファイルを手作業で書き換えずに済むのは、この仕組みのおかげなのです。

ブラウザ側で動くJavaScriptとの役割分担が気になる方もいるのではないでしょうか。画面の動きを担当するフロントエンドと、データ処理を担当するバックエンドの違いは、フロントエンドとバックエンドの違いで詳しく整理しています。

サーバーサイドスクリプト言語
Webサーバー上で実行される言語。データベース連携・認証・動的コンテンツ生成をサーバー側で処理し、ブラウザには結果のHTMLが送信される
動的Webページ
ユーザーの操作や条件に応じて表示が変わるページ。ログイン後の画面や検索結果の一覧など

言語としてのPHPは、HTMLに近い構文で習得しやすく、LaravelやSymfonyといったフレームワークも豊富です。MySQLをはじめとする主要データベースとの連携が容易で、オープンソースなので無料で使えます。世界中のレンタルサーバーが標準対応している点も、PHPが「Webの共通言語」であり続けている理由だといえます。

WordPressとPHPの関係

WordPressは、PHPで構築された世界最大のCMSです。本体のプログラムも、デザインを決めるテーマも、機能を追加するプラグインも、すべてPHPで書かれています。ページが表示されるたびにサーバーでPHPが実行され、データベースから記事を取り出し、テーマのテンプレートと組み合わせてHTMLを生成する。WordPressサイトの裏側では、この処理が絶えず動いています。

WordPressが2003年の登場から急速に広まった背景にも、PHPの存在があります。当時すでにレンタルサーバーの多くがPHPを標準サポートしていたため、特別な環境構築なしに、借りたサーバーへそのまま設置できたのです。「どこでも動く」ことが、WordPressのシェア拡大を支えた土台だったといえます。

テーマを少しカスタマイズしたことがある方なら、single.phpやpage.phpといったファイル名を見たことがあるかもしれません。これはテンプレート階層と呼ばれる仕組みで、記事ページ、固定ページ、一覧ページといったページの種類ごとに、どのPHPファイルで表示を組み立てるかが決まっています。プラグインはアクションやフィルターと呼ばれるフックの仕組みを使って、本体のプログラムを書き換えずに動作を拡張します。PHPの知識が少しあるだけで、制作会社への修正依頼も「single.phpのこの部分を変えたい」と具体的に伝えられるようになります。

テーマ
デザインとレイアウトを決めるファイル群。PHP・CSS・JavaScriptで構成され、切り替えるだけで見た目を大きく変えられる
プラグイン
問い合わせフォームやSEOなど、目的に応じた機能を追加するPHPプログラム
テンプレート階層
ページの種類ごとに使われるPHPファイルが決まる仕組み。記事はsingle.php、固定ページはpage.phpが基本

PHPのバージョンアップを放置してはいけない理由

PHPは毎年秋に新しいバージョンがリリースされ、各バージョンはリリースから約4年でサポートが終わります。つまり、サイトを公開したときは最新だったPHPも、何もしなければ4年後には必ずサポート切れになるのです。サポートが終わったバージョンには、新しい脆弱性が見つかっても修正が提供されません。サポート切れのPHPを使い続けることは、鍵の壊れた家に住み続けるのと同じ状態です。既知の脆弱性は攻撃手順ごと公開されているため、放置されたサイトは自動化された攻撃の格好の標的になり、サイト改ざんや個人情報の流出につながります。

セキュリティだけでなく、表示速度にも直結します。PHP 5.6から7.0への移行で処理速度が約2倍になったことはよく知られており、PHP 8系ではJITコンパイラの導入でさらに向上しました。当社が保守しているWordPressサイトでも、PHP 7.4から8.2へ移行しただけでページ生成時間が2〜3割短縮した例があります。サーバーを増強しなくても、バージョンを上げるだけで速くなるのですから、やらない手はないのではないでしょうか。

もう一つ見逃せないのが、テーマ・プラグインとの互換性です。古いPHPのままだと、新しいテーマやプラグインが動作要件を満たさずインストールできなくなっていきます。逆に古いテーマを使い続けたままPHPだけ上げると、廃止された関数を使っている箇所でエラーが出ることもあります。PHP・WordPress本体・テーマ・プラグインの4つは、セットで新しく保つのが原則です。

EOL(End of Life)
サポート終了。EOLを迎えたバージョンには脆弱性の修正が提供されなくなる
JITコンパイラ
PHP 8.0で導入された高速化の仕組み。実行時にプログラムを機械語へ変換して処理を速める

PHPバージョンの確認と切り替えの手順

自社サイトのPHPバージョンは、WordPressの管理画面からすぐ確認できます。「ツール」の中の「サイトヘルス」を開き、「情報」タブの「サーバー」欄を見ると、現在のPHPバージョンが表示されます。サポートが切れたバージョンであれば、サイトヘルスのステータス画面にも警告が出ているはずです。

どのバージョンを選ぶかは、最新版ではなく「一つ前の安定版」を基準にすると失敗しにくくなります。最新版はリリース直後だと一部のプラグインが未対応のことがあり、一つ前のバージョンなら主要なテーマ・プラグインの対応が出揃っているからです。サポート期間の残りが2年以上あるバージョンを選んでおけば、次の切り替えまで余裕を持てます。

切り替え自体は、多くのレンタルサーバーで管理画面から数クリックで完了します。ただし、当社が保守の現場でおすすめしている手順は「いきなり本番で切り替えない」ことです。切り替えの前にバックアップを取得し、可能であればステージング環境で新しいバージョンでの表示と、フォーム送信のような重要な機能を確認します。エックスサーバーなど、ステージング機能やPHPバージョンのディレクトリ単位切り替えを提供しているサーバーもあるので、契約中のサーバーの機能を確認してみましょう。サーバー選びの観点はWebサーバーの選び方でも扱っています。

切り替え後にサイトが真っ白になった場合は、慌てずにPHPバージョンを元に戻せば表示は復旧します。原因の多くは、更新が止まった古いテーマやプラグインです。この機会に、何年も更新されていないプラグインを洗い出して置き換えると、サイト全体の健全性が一段上がります。

なお、制作会社と保守契約を結んでいるサイトや、テーマを深くカスタマイズしているサイトでは、自分で切り替える前に必ず制作会社へ確認してください。カスタマイズ部分が古いPHPの書き方に依存していることがあり、当社でも他社制作のサイトを引き継いだ際に、バージョンアップ前のコード改修が必要だったケースが何度もあります。確認の一手間で、切り替え当日のトラブルをほぼ防げます。

まとめ

PHPはWordPressを動かしているサーバーサイド言語であり、その管理はセキュリティ、表示速度、テーマ・プラグインの互換性という運用の根幹に関わります。サイトヘルスでバージョンを確認し、サポートが有効なバージョンを保つ。バックアップを取ってから切り替える。この2つを習慣にするだけで、WordPressサイトの寿命は大きく延びるのです。

コードが書けなくても、PHPの役割と付き合い方を知っているだけで、サーバー会社や制作会社との会話が具体的になり、トラブル時の初動も速くなります。サポート切れの警告は、放置した期間だけリスクが積み上がっていくものです。まずは自社サイトのサイトヘルスを開いて、現在のバージョンを確認するところから始めてみましょう。

PHPバージョン診断とWordPress環境のご相談

自社のWordPressがどのPHPバージョンで動いているか分からない、警告が出ているが切り替えが不安という方は、合同会社ギャラクタスにご相談ください。現在の環境の診断から、テーマ・プラグインの互換性確認、バックアップを含めた安全なアップグレードの実施まで対応しています。表示速度やセキュリティの改善余地も合わせて確認できますので、無料相談でサイトの現状をお聞かせください。

Web制作会社ギャラクタスでは
ホームページ作成・運用を承っています

ホームページの新規立ち上げや既存サイトのリニューアルを始めとしたWeb制作全般に関して、
企画・構成からデザイン・コーディングまで一貫して行っています。
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